「手術しかない」と宣告された腰椎椎間板ヘルニア。それでも私が「リハビリ」を勧める理由

スポンサードサーチ

導入 (Introduction)

病院の診察室。
先生がMRI画像を指差しながらこう言いました。

「ここ、黒いのが飛び出していますね。これが神経を圧迫しています。手術を考えましょう」

頭が真っ白になりますよね。
「手術なんて怖い」「仕事はどうするんだ」「一生このまま歩けなくなるんじゃないか」
そんな不安で夜も眠れないかもしれません。

でも、理学療法士として臨床の最前線にいる私から、一つだけ真実をお伝えさせてください。
「画像でヘルニアが出ていても、症状がない人は山ほどいる」
そして、
「飛び出したヘルニアは、体が勝手に掃除してくれることがある」

手術は「最後の手段」です。
その前に、まだあなたの体には「自分で治ろうとする力」が残されています。
今日は、手術宣告を受けたあなたにこそ知ってほしい、リハビリの可能性についてお話しします。

一般論の否定 (The Antithesis)

「安静」が一番の毒?

腰が痛い時、「とにかく動かず安静にしていよう」と思っていませんか?
実は、近年の腰痛治療ガイドラインでは、「過度な安静は逆効果」と明記されています。

椎間板(ついかんばん)は、スポンジのような組織です。
動くことで栄養が出入りし、老廃物が排出されます。
怖がって寝たきりで過ごしていると、椎間板の栄養状態が悪くなり、周りの筋肉も衰え、余計に痛みに敏感な体になってしまいます。

もちろん、激しい運動はNGですが、「痛くない範囲で動かす」ことが、回復への近道なのです。
正しく動くことが、最高の薬になります。

【最重要】メカニズムの徹底解剖 (Deep Dive)

そもそも「ヘルニア」とは?

椎間板ヘルニアの「ヘルニア」はドイツ語で「脱出」という意味です。
背骨と背骨の間にあるクッション「椎間板」の中身である「髄核(ずいかく)」が、外側の殻(繊維輪)を破って外に飛び出した状態を指します。

図解

この図を見てください。
飛び出した髄核(赤い部分)が、すぐ近くを通る神経(黄色い線)に触れることで、強烈な炎症と痛み、痺れを引き起こします。

「マクロファージ」がヘルニアを食べる!?

ここからが重要です。
実は、白血球の一種である「マクロファージ(貪食細胞)」という免疫細胞が、この飛び出したヘルニアを「異物」と認識し、なんと食べて(吸収して)くれることが分かっています。

特に、大きく飛び出したヘルニアほど、マクロファージに見つかりやすく、自然消滅しやすいというデータもあります。
これが、手術をしなくても数ヶ月で症状が引いていく理由の一つです。
リハビリの役割は、この「自然吸収」が起こるまでの間、痛みをコントロールし、神経へのストレスを減らす環境を整えることにあります。

セルフチェック (Self-Screening)

手術適応か、保存療法(リハビリ)でいけるかの境界線を知っておきましょう。

【レッドフラッグ(即病院レベル)】

以下の症状がある場合は、リハビリしている場合ではありません。直ちに専門医を受診してください。
* 膀胱直腸障害: おしっこが出ない、漏らす。便秘や失禁がある。
* サドル麻痺: 股間(サドルの当たる部分)の感覚がない。
* 完全な筋力低下: 足首が全く動かない(下垂足)。

これらがない場合、つまり「痛いけど動ける」「痺れているけど感覚はある」という場合は、リハビリでの改善が大いに期待できます。

パルク式解決策 (The Solution)

当院では、「マッケンジー法」という世界的に認められたメソッドをベースにアプローチします。

Step 1. 方向性選好(Directional Preference)を見つける

ヘルニアの患者さんの多くは、「前かがみ」で痛くなり、「反らす」と楽になる(またはその逆)という傾向があります。
「どっちに動かすと痛みが中心化(足の痛みが腰に戻ってくる)するか」を見極め、「痛みを減らす方向」への運動を繰り返します。

Step 2. 髄核を中心に押し戻す

歯磨き粉のチューブのお尻を押すと中身が出るように、前かがみになると椎間板の前が潰れて、中身(髄核)は後ろ(神経のある方)へ飛び出します。
逆に、腰を正しく反らすことで、前に圧がかかり、飛び出した髄核を中心に戻す力が働きます(図のイメージ通りです)。

Step 3. 体幹のコルセットを作る

痛みが引いてきたら、再発防止のためにインナーマッスル(腹横筋・多裂筋)を鍛え、天然のコルセットを作ります。

【有料級】セルフケア・マニュアル (Action Plan)

【マッケンジー体操:うつ伏せエクステンション】

多くのヘルニア(特に後方脱出型)に有効なケアです。
※やってみて足の痺れが強くなる場合は中止してください。

  1. うつ伏せに寝ます。まずはこの姿勢で1〜2分リラックス。
  2. 痛みがなければ、肘をついて上半身を少し起こします(スフィンクスのポーズ)。
  3. さらにいけそうなら、手のひらを床につき、腕立て伏せの要領で腰の力は抜いたまま、腕の力だけで上半身を起こして腰を反らします。
  4. 頂点で息を吐き、ゆっくり戻します。
  5. これを10回1セット、1日5〜6セット行います。

お尻や足の痛みが、腰の方に集まってくれば(Centralization)、改善のサインです!

よくある質問 (FAQ)

Q1: ブロック注射とリハビリ、どっちがいいですか?
A: 併用が最強です。痛みが強すぎて動けない時は、ブロック注射で炎症を抑えて痛みを取り、その隙にリハビリで根本原因(姿勢や動き)を治すのが賢い戦い方です。

Q2: 完治しますか?
A: ヘルニアの出っ張り自体が消えなくても、痛みや痺れがなくなり、日常生活に支障がない状態になれば、それは「改善」と言えます。再発しない体を作ることは十分に可能です。

Q3: 牽引(腰を引っ張る機械)は効果ありますか?
A: 一時的に圧が抜けて気持ちいいですが、エビデンス(科学的根拠)としては「効果は限定的」とされています。受け身の治療だけでなく、自分で動かす運動療法が必須です。

まとめ・行動喚起 (Conclusion & CTA)

「手術宣告」は、絶望の通知ではありません。
「今までの体の使い方を見直すチャンス」です。

あなたのヘルニアが、リハビリで良くなるタイプなのか、それとも専門的な処置が必要なのか。
それを判断するためにも、まずは専門家の評価を受けてください。
諦める前に、まだできることはたくさんあります。一緒に「切らない選択肢」を探りましょう.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です